「事業用自動車安全通信」第116号(H23.10.14)

事業用自動車安全通信」第116号(H23.10.14)

=目 次=
1.重大事故等情報=14件(10月7日〜10月13日分)
(1)乗合バスの車内事故1
(2)乗合バスの車内事故2
(3)乗合バスの車内事故3
(4)貸切バスの車両火災事故1
(5)貸切バスが雑木林に転落した事故
(6)貸切バスが合流地点で停車していた軽自動車と衝突した事故
(7)貸切バスの車両火災事故2
(8)貸切バスの運転者が健康起因により死亡
(9)タクシー運転者が救護義務違反の疑いで逮捕
(10)タクシーが交差点で原動機付自転車と衝突した事故
(11)タクシーが交差点で乗用車と衝突した事故
(12)タクシー運転者の酒気帯び運転による事故
(13)タンク車が高速道路で横転した事故
(14)トラック運転者の酒気帯び運転による事故

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【1.重大事故等情報=14件】(10月7日〜10月13日分)

(1)乗合バスの車内事故1
10月7日(金)午後2時15分頃、神奈川県の駅のバスターミナルにおいて、同県
に営業所を置く乗合バスが乗客20名を乗せて運行中、前方の車両に接近したためブ
レーキをかけたところ、乗客1名(女性、82歳)が転倒した。
この事故により、転倒した乗客が大腿骨骨折並びに脳内出血による重傷を負った。
事故当時、当該バスの運転者は、約1m前方で信号待ちをしていた車両が青信号で前
進すると思い込み、当該バスを発車させたが、当該車両が青信号になっても前進しな
かったことから、慌ててブレーキをかけ停車したところ、優先席に座ろうとしていた
この乗客がバランスを崩し転倒した模様。

(2)乗合バスの車内事故2
10月8日(土)午前10時頃、東京都において、都内に営業所を置く乗合バスが乗客
40名以上を乗せて運行中、信号のある交差点を通過しようとしたところ、当該バス
の運転者は当該交差点を右から左へ渡っていた自転車を確認したため、衝突を避けよ
うと急ブレーキをかけたことにより、当該バスの乗客が転倒した。
この事故により、当該バスの乗客5名が重傷、2名が軽傷を負った。
事故現場は、片側一車線の道路で、事故当時、当該自転車が赤信号を無視して飛び出
してきた模様。
なお、当該バスと当該自転車との接触はなく、当該自転車は、その場から立ち去った
模様。

(3)乗合バスの車内事故3
10月12日(水)午後7時10分頃、福岡県のバス停において、同県に営業所を置
く乗合バスが乗客14名を乗せて運行中、降車扱いのために停車したところ、このバ
ス停で降車しようとした乗客(女性、77歳)が転倒した。
この事故により、転倒した乗客が左大腿骨骨折の重傷を負った。
事故当時、転倒した乗客は、当該バスの車内右側最前列の座席に座っており、事故後
の現場検証で確認した車内のドライブレコーダの映像によると、当該バスが停車中に
席を立ち、当該バスの床面へ降りようとしたところバランスを崩した模様。

(4)貸切バスの車両火災事故1
10月7日(金)午前5時55分頃、埼玉県において、同県に営業所を置く貸切バス
が回送で走行中、当該バスの運転者が焦げくさい臭いを感じた。その後、当該バスの
左後輪タイヤがバーストしたため、道路左側に当該バスを停車させて、タイヤを確認
したところで火災が発生した。当該バスの運転者は、当該バスに装備していた消火器
で消火活動を行ったが、火の勢いが強く車体に燃え広がり全焼した。
この事故による負傷者はなし。
当該バスのタイヤがバーストし、火災が発生した原因は、当該バスの運転者が駐車ブ
レーキを戻し忘れて走行したため、ブレーキ装置が過熱したことによる模様。

(5)貸切バスが雑木林に転落した事故
10月7日(金)午前9時00分頃、愛知県において、岐阜県に営業所を置く貸切バ
スが乗客39名(大人3名、小人36名)を乗せて運行中、道路左側のガードレール
に衝突後、センターラインを越えて道路右側のガードレールを突き破り、約5メート
ル下の雑木林に転落し、当該バスの車体の左側面を上に向けて停止した。
この事故により、当該バスの運転者(男性、52歳)が死亡、乗客2名(大人)が重
傷、37名が軽傷を負った。
事故現場は、山沿いの片側一車線の当該バスから見て緩やかな下りの左カーブで、当
該バスには、小学校の教諭と児童が乗車しており、社会科見学として愛知県の公園に
向け、当該小学校を午前8時30分に出発した。
なお、死亡した当該バスの運転者は、勤続20年以上で、同日の朝の乗務前点呼にお
いても異常はなかったが、事故直前にくも膜下出血を発症し意識を失った模様。

(6)貸切バスが合流地点で停車していた軽自動車と衝突した事故
10月8日(土)午前9時10分頃、佐賀県の高速道路のジャンクションにおいて、
同県に営業所を置く貸切バスが乗員乗客46名を乗せて合流車線を運行中、走行車線
と合流車線の間に停車していた軽自動車に追突した。
この事故により、当該軽自動車の乗員1名が肋骨骨折及び肺挫傷による重傷、当該軽
自動車の運転者が軽傷、当該バスの乗客9名が軽傷を負った。
事故の現場は、2本の合流車線が同位置で本線に合流する道路で、当該バスの運転者
は、当該バスの左側の別の合流車線から合流してくる車両に気を取られ、停車してい
た当該軽自動車に気付くのが遅れた模様。
なお、当該軽自動車は、走行車線を走行していたが、当該高速道路の出口を間違えた
ため停車していた模様。

(7)貸切バスの車両火災事故2
10月10日(月)午後11時頃、福島県において、同県に営業所を置く貸切バスが
乗客43名を乗せて運行中、当該バスの運転者が乗客から発煙していると伝えられ、
後写鏡で後方を確認したところ、当該バスの車体後部からの発煙を確認したため、当
該バスを停車し、乗客を車外に退避させ消防に通報した。その後、駆けつけた消防に
より、およそ30分後に火は消し止められた。
この火災により、当該バスの乗客3名が煙を吸い、体調不良を訴えたため病院で手当
てを受けたがいずれも軽傷。
当該バスは、東京と南相馬市の間を1日1往復するツアーバスであり、当日の運行前
点検では特に異常は認められなかった模様。

(8)貸切バスの運転者が健康起因により死亡
10月12日(水)午後2時50分頃、北海道の高速道路において、道内に営業所を
置く貸切バスが乗客26名を乗せて運行中、当該バスが突然減速し、道路脇のガード
ロープに接触したため、前方の座席に座っていた乗客が不審に思い、当該バスの運転
者席を確認したところ、当該バスの運転者(48歳)が意識を失っていたことから、
駐車ブレーキを引くなどして当該バスを停止させた。
この事故により、当該バスの運転者が搬送先の病院で死亡、当該バスの乗客に負傷者
はなし。
死亡した当該バスの運転者は、同日朝の乗務前点呼において異常はなく、常用してい
る薬もなかった。
また、年2回、健康診断を実施しており、平成23年5月に受診した際にも異常は認
められなかったが、事故直前に急性大動脈解離を発症した模様。

(9)タクシー運転者が救護義務違反の疑いで逮捕
9月30日(金)午前1時頃、広島県において、同県に営業所を置くタクシーが走行
中、道路左側を同方向に進行していた自転車に乗った男性(57歳)を撥ねたが、当
該タクシーの運転者(58歳)は負傷者の救護措置等を行わずに逃走した。
この事故により、撥ねられた男性が軽傷を負った。
10月7日(金)、警察は、当該タクシーの運転者を自動車運転過失傷害と道路交通法
違反(救護義務違反)の疑いで逮捕した。
警察によると、当該タクシーの運転者は、「事故をしたのは間違いないが、何か物に
当たっただけでひき逃げはしていない。」と一部容疑を否認している模様。

(10)タクシーが交差点で原動機付自転車と衝突した事故
10月7日(金)午前2時25分頃、大阪府において、同府に営業所を置くタクシー
が空車で走行中、信号のない交差点を通過しようとしたところ、当該交差点を右側か
ら来た原動機付自転車(125cc)と衝突した。
この事故により、当該原動機付自転車の運転者が死亡し、当該タクシーの運転者が軽
傷を負った。
事故現場の交差点は、原動機付自転車側の道路が優先道路であり、タクシー側の道路
には一時停止の義務があった模様。
事故の状況は、当該タクシーの右側前輪タイヤの後部に原動機付自転車の前輪が突っ
込んだことにより、原動機付自転車の運転者は、頭から当該タクシーに衝突した模
様。

(11)タクシーが交差点で乗用車と衝突した事故
10月9日(日)午前7時50分頃、栃木県において、同県に営業所を置くタクシーが
乗客2名を乗せて運行中、交差点を右折しようとしたところ、対向直進してきた乗用
車と衝突した。
この事故により、当該タクシーの乗客2名のうち、1名(女性、56歳)が死亡、1名
(女性、33歳)が重傷を負い、当該乗用車の運転者(男性、29歳)が軽傷を負った。
当該乗用車の前面と当該タクシーの左側面が衝突しており、当該タクシーの運転者
は、警察に自動車運転過失致死の疑いで逮捕された。
また、一部報道によると当該タクシーの運転者は、「無理して曲がった」と供述して
いる模様。

(12)タクシー運転者の酒気帯び運転による事故
10月9日(日)午前11時20分頃、福岡県のコンビニエンスストアの駐車場内に
おいて、同県に営業所を置くタクシーがバイクと接触した。事故後、当該事故の目撃
者からの通報を受け、現場に駆けつけた警察官が当該タクシーの運転者から酒の臭い
がすることに気付いたことから、当該タクシーの運転者の酒気帯びの有無を確認した
ところ、呼気1リットル当たり0.45ミリグラムのアルコールが検出されたため、
警察は、当該タクシーの運転者を酒気帯び運転の疑いで逮捕した。 
この事故による負傷者はなし。
当該タクシーの運転者は、同日午前5時30分頃出勤し、5時46分頃に実施した乗
務前点呼において、アルコール検知器には反応はなく、その他の異常もなかった模
様。

(13)タンク車が高速道路で横転した事故
10月8日(土)午後4時頃、福井県の高速道路において、神奈川県に営業所を置く
大型タンク車が横転した。
この事故により、当該タンク車の運転者が軽傷を負った。
なお、当該タンク車の積み荷の塩素系の薬品(モノメチルアミン水溶液)10,63
2リットル中152リットルが漏洩したが、体の不調などを訴える人いなかった。
事故現場は、緩やかな下りの右カーブで、当該タンク車の運転者は、第一通行帯を走
行中、路肩と本線との段差でハンドルを取られたと話している模様。
この事故の影響で、当該道路は同日午後4時50分から9日午前7時50分までの約
15時間通行止めとなった。

(14)トラック運転者の酒気帯び運転による事故
10月10日(月)午後10時30分頃、滋賀県の高速道路において、香川県に営業
所を置く大型トラックが走行車線を走行中、前方の車両を追い越すため追い越し車線
に車線変更しようとしたところ、後方から追い越し車線を走行してきた別のトラック
接触した。
この事故による負傷者はなし。
事故後、警察による現場検証の際、当該大型トラックの運転者から酒の臭いがしたた
め、警察が当該大型トラックの運転者の呼気を確認したところ、呼気1リットル当た
り0.48ミリグラムのアルコールが検出された。
当該大型トラックの運転者は、当該大型トラックの鍵を常時所持しており、事故当
日、所属営業所の運行管理者が行う点呼を受けることなく乗務を開始し、自宅より持
ち出した缶ビールを途中のサービスエリアで飲酒した後、運転を継続した模様。

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