「事業用自動車安全通信」第90号(H23.3.28)

事業用自動車安全通信」第90号(H23.3.28)

=目 次=
1.重大事故情報=8件(3月11日〜3月24日分)
(1)乗合バスの車内事故
(2)乗合バスの車両火災事故
(3)乗合バス運転者の健康起因事故
(4)貸切バスの車両火災事故
(5)貸切バスが地震で激しく揺れた事故
(6)タクシーがガードロープなどに衝突した事故
(7)トラック運転者が救護義務違反の疑いで逮捕
(8)トラック運転者の酒気帯び運転による事故
2.アルコール検知器使用の義務化の実施時期を延期します。

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【1.重大事故情報=8件】(3月11日〜3月24日分)

(1)乗合バスの車内事故
2月24日午前8時40分頃、佐賀県において、乗合バスがバス停で乗降扱い後発車
したところ、乗客1名(女性、82才)が転倒した。
この事故により、転倒した乗客が左上腕骨近位端骨折の重傷(約2ヶ月の入院加療)
を負った。
事故当時、転倒した乗客は、車両中央部の2人掛け座席に着席していたが、当該バス
停で車両前方の座席が空いたため移動しようと席を立ったところ、バランスを崩して
転倒した模様。

(2)乗合バスの車両火災事故
3月18日午後3時30分頃、静岡県において、乗合バスが乗客約16名を乗せて運
行中、信号待ちのため停車した後、青信号で発車しようとしたが、エンジンが始動し
なかったため、当該バスの運転者がエンジンを確認したところ、エンジン付近から出
火しているのを発見したため、消火器により消火作業を行ったところ鎮火した。
この事故による負傷者はなし。
なお、当該バスは、アイドリングストップ機能付き車両であった。

(3)乗合バス運転者の健康起因事故
3月24日午後3時55分頃、兵庫県において、乗合バスが乗客17名を乗せて運行
中、当該バスの運転者が意識不明となり交差点手前右側の店舗駐車場フェンスに衝突
した。
この事故により、乗客1名が軽傷を負い、当時バスの運転者が病院に搬送されたが死
亡した。

(4)貸切バスの車両火災事故
3月11日午前11時頃、北海道の高速道路において、貸切バスが乗客23名を乗せ
て運行中、当該バスの運転者が当該バスの左後輪付近より出火しているのを発見した
ため、当該バスを路肩に停車させ、当該バスに装備してあった消火器により消火作業
を行ったところ鎮火した。
この事故による負傷者はなし。
当該バスの運転者は、火災を確認する前に、左後輪がパンクしたことを認識していた
が、有珠山パーキングエリアでタイヤを交換しようと、そのまま走行し続けていたと
ころ出火した模様。

(5)貸切バスが地震で激しく揺れた事故
3月11日午後3時5分頃、東京都の首都高速において、貸切バスが乗客11名を乗
せて運行中、当該バスの運転者が地震による横揺れを感じたため当該バスを停車させ
ていたところ、当該バスがバウンドするほど縦に激しく揺れた。
この事故により、乗客4名と当該バスの運転者が重傷を負い、他の乗客4名と当該バ
スの添乗員1名が軽傷を負った。
事故現場は、川に架かる橋の上だった。

(6)タクシーがガードロープなどに衝突した事故
3月10日午前0時15分頃、新潟県において、タクシーが乗客1名を乗せて運行
中、左折のため第二通行帯から第一通行帯に車線変更しようと加速したところ、ス
リップして歩道側のガードロープに衝突し、更にスリップしながらセンターライン付
近で停止した。
この事故により、乗客1名が重傷を負い、当該タクシーの運転者が軽傷を負った。
事故当時、第一通行帯に乗用車がいたため、タクシーはこの乗用車の前に出ようとし
て加速した模様。
なお、当時は雪が降っており、路面が凍結していた模様。

(7)トラック運転者が救護義務違反の疑いで逮捕
3月16日午後11時頃、埼玉県において、トラックが信号機のある交差点を直進
中、左方向より走行してきたオートバイと衝突した。事故後、当該トラックの運転者
は、当該オートバイの運転者を救護することなくその場を立ち去った。
この事故により、当該オートバイの運転者は右肩脱臼など3週間のケガを負った。
その後、当該トラックの運転者は自ら110番通報をし、自動車運転過失傷害と道路
交通法違反(救護義務)の疑いで逮捕された。

(8)トラック運転者の酒気帯び運転による事故
3月20日午後4時15分頃、青森県の交差点において、トラックが赤信号で停車
中、当該トラックの運転者が靴下を履こうとしてブレーキから足を放したところ、当
該トラックが前進し、前方にいた別のトラックに衝突した。
この事故による負傷者はなし。
事故後、警察が当該トラックの運転者に対して飲酒の有無について検査したところ、
呼気1リットル中0.2ミリグラムのアルコールが検出された。
当該運転者の乗務前の点呼時に、運行管理者は、当該トラックの運転者が飲酒してい
ないことを確認したが、当該トラックの運転者は、乗務開始後、乗船予定の同日午後
0時発のフェリーを待つ間に、コップ2杯程度のビールを飲んだ。
なお、当該事故は、当該トラックが午後4時に下船した後、約15分後に発生した。

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【2.アルコール検知器使用の義務化の実施時期を延期します。】

東北地方太平洋沖地震によるアルコール検知器の生産・出荷への影響を踏まえ、自動
車運送事業者の点呼における運転者の酒気帯びの確認のためのアルコール検知器使用
の義務化の実施時期を4月1日から5月1日に延期することとしましたのでお知らせ
します。
事業用自動車の運転者の飲酒運転を根絶するため、旅客自動車運送事業運輸規則及び
貨物自動車運送事業輸送安全規則の改正等により、本年4月1日から、自動車運送事
業者の点呼において運転者の酒気帯びの有無の確認を行う際に、アルコール検知器を
使用することを義務化することを予定していたところ、3月11日に発生しました東
北地方太平洋沖地震の影響により、アルコール検知器製造・販売事業者におけるアル
コール検知器の生産・出荷に一部遅れが生じていることが確認されました。
これを踏まえ、義務化の実施時期を4月1日から5月1日に延期することにしまし
た。
なお、延期のために必要となる旅客自動車運送事業運輸規則及び貨物自動車運送事業
輸送安全規則の改正は、3月31日に公布予定です。