「事業用自動車安全通信」第88号(H23.3.4)

事業用自動車安全通信」第88号(H23.3.4)

=目 次=
1.重大事故情報=8件(2月25日〜3月3日分)
(1)乗合バスの車内事故
(2)乗合バスが乗客から妨害を受け横転事故を起こした事件
(3)乗合バスに刃物を持った男が乗り込み乗客及び運転者を監禁した事件
(4)タクシーが別のタクシーと衝突した事故
(5)タクシーが路上に倒れている女性を撥ねた事故
(6)タクシーが自転車に乗った女性を撥ねた事故
(7)タクシーが歩行者を撥ねた事故
(8)トラックが軽ワゴン車と衝突した事故
2.平成22年中の大型車のホイール・ボルト折損による車輪脱落事故の状況
(再周知)
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【1.重大事故情報=8件】(2月25日〜3月3日分)

(1)乗合バスの車内事故
2月25日午前9時15分頃、大阪府のバス停において、乗合バスが降車扱いのため
に停車したところ、当該バス停で降車しようとした乗客1名(女性、69才)が転倒
した。
この事故により、転倒した乗客が大腿骨骨折の重傷を負った。
事故当時、転倒した乗客は、当該バスの左最前部の段差がある座席に乗車しており、
当該バスが停車する前に座席から立ち上がり、当該座席から降りるためのステップ上
に手すりを握り立っていたが、当該バスが停車した後、当該ステップから降りる際に
バランスを崩し、転倒した模様。

(2)乗合バスが乗客から妨害を受け横転事故を起こした事件
2月26日午前0時頃、広島県の高速道路において、乗合バスが乗客10名を乗せて
運行中、当該バスの乗客が運転者からハンドルを奪って横転事故を引き起こした。
この事故により、当該バスの乗員乗客の計12名が軽傷を負った。
事業者によると、路肩に乗り上げ横転した後、当該バスの運転者から「男にハンドル
を奪われた」と連絡があった模様。
事故後、ハンドルを奪った男は、警察に殺人未遂の容疑で逮捕された。

※ 国土交通省では、平成20年12月2日に、バス事業者団体あてに「バスジャッ
ク対策の推進について」通知しているところですが、今回の事件を受け、運転席にお
けるアクリル板の設置等運転者に対する犯人からの直接的な危害を防ぐための対応に
努めるよう、バス事業者団体に対して、再徹底を要請しました。

(3)乗合バスに刃物を持った男が乗り込み乗客及び運転者を監禁した事件
3月2日午前11時20分頃、静岡県において、乗合バスに刃物を持った男が乗り込
み、乗客約5名に降車を命じたうえ、体が不自由で当該バスから降りられなかった乗
客1名を乗せたまま、運転者を脅してバスを出発させ、この2名を監禁するという事
件が発生した。
この事件による負傷者はなし。
男は約30分後、追跡してきた警察に監禁及び銃刀法違反で現行犯逮捕された。
乗客からの速やかな通報、車外へ緊急事態を伝えるべくハザードランプを点灯するな
どの運転者の冷静な対処といった事件発生直後における適切な対応が早期解決に繋
がった模様。

(4)タクシーが別のタクシーと衝突した事故
2月20日午前1時20分頃、大阪府の交差点において、タクシーが乗客1名を乗せ
て運行中、当該交差点を赤信号で進入したため、右から直進してきた別のタクシー
(乗客1名)の左側面に衝突した。
この事故により、赤信号で交差点に進入したタクシーの乗客が左上腕骨折の重傷を負
い、双方のタクシーの運転者及び衝突されたタクシーの乗客の計3名が軽傷を負っ
た。
事故当時、赤信号で交差点に進入したタクシーの運転者は、乗客との会話に気を取ら
れていたため信号を無視した模様。
また、重傷を負った乗客は、左手で側面窓ガラス上方の取っ手を握っていた模様。
なお、双方のタクシーには、ドライブレコーダの装着があった。

(5)タクシーが路上に倒れている女性を撥ねた事故
2月26日午前3時10分頃、兵庫県において、タクシーが空車で走行中、路上に倒
れていた女性を撥ねた。
この事故により、撥ねられた女性が死亡した。
事故当時、当該タクシーの運転者は、前方の青信号を確認して横断歩道を通過しよう
としたところ、この女性が当該横断歩道手前の停止線上に倒れているのを発見した
が、この女性を撥ねてしまった模様。
なお、当該タクシーにはドライブレコーダが装着されていたが、現在警察に押収され
ている。

(6)タクシーが自転車に乗った女性を撥ねた事故
2月26日午前4時25分頃、愛媛県において、空車のタクシーが交差点を直進中、
当該交差点を横断していた自転車に乗った女性(23才)を撥ねた。
この事故により、撥ねられた女性が死亡した。
当該交差点は、タクシー側の道路が片側二車線で、タクシーは右側の車線を走行して
いた模様。

(7)タクシーが歩行者を撥ねた事故
3月1日午後9時40分頃、茨城県において、タクシーが空車にて運行中、歩行者を
発見し回避しようとしたが間に合わず撥ねた。
この事故により、当該歩行者が病院に搬送され、3月2日午前4時50分に死亡が確
認された。
当該事故現場は、片側一車線の直線道路で、縁石で仕切られた歩道があったが、事故
当時、当該歩行者は、傘をさして車道の左端を歩いており、当該運転者は雨天・夜間
で視界不良のため、歩行者の発見が遅れた模様。
 
(8)トラックが軽ワゴン車と衝突した事故
2月26日午後4時頃、山口県において、トラックが対向してきた軽ワゴン車と正面
衝突した。
この事故により、当該軽ワゴン車に乗っていた3名が死亡したほか、2人(子供)が
意識不明の重体。
事故現場は、片側一車線の緩やかなカーブで、当該事故は、当該トラックがセンター
ラインを越えて走行したため発生した模様。

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【2.平成22年中の大型車のホイール・ボルト折損による車輪脱落事故の状況
   (再周知)】

今般、平成22年中の大型車(車両総重量8トン以上又は乗車定員30人以上のト
ラック、バス等)のホイール・ボルト折損による車輪脱落事故の発生状況(速報)が
まとまりました。
<発生状況>
車輪脱落事故は近年減少傾向にありましたが、平成22年に発生した事故は24件あ
り、平成21年に比べ11件増加しています。
平成11年から平成22年までに発生した事故は341件であり、月別の発生状況を
見ると2月に59件、3月に51件と特に2,3月の冬から初春の時期に発生が集中
しています。
また、地域別の発生状況を見ると積雪地域の発生率が高い傾向が見られます。
大型車のホイール・ボルト折損による車輪脱落事故については、一度発生するとその
影響は甚大なものとなります。
そのため、大型車の使用者は、日常点検においてホイール・ナットの脱落・緩みやホ
イール・ボルトの折損等の異常の有無を重点的に点検してください。

※ ホイール・ボルト折損の主な原因は、①ホイール・ボルトの締付力不足、②ホ
イール・ボルトの誤組(スチールホイールにアルミホイール用のボルトを使用する
等)、③ホイール・ボルトの過締めと推定されています。
※ 2,3月に発生が多くなる原因の1つとして、例年10月から12月にかけて夏
用タイヤから冬用タイヤに交換する際に締結不良(締付力不足、誤組、過締等)があ
り、ボルトの疲労破壊が進行して数ヶ月後に集中的に折損し、車輪の脱落が発生する
ことが考えられます。