「事業用自動車安全通信」第87号(H23.2.25)

事業用自動車安全通信」第87号(H23.2.25)

=目 次=
1.重大事故情報=9件(2月18日〜2月24日分)
(1)乗合バスの車内事故1
(2)乗合バスが歩行者を轢いた事故
(3)乗合バスの車内事故2
(1)乗合バスが歩行者を撥ねた事故
(2)貸切バスがトラックと衝突して横転した事故
(3)貸切バスの車両火災事故
(4)乗合バスの車内事故3
(5)乗合バスが歩行者を撥ねた事故
(6)乗合バスなどが多重衝突した事故
(7)タクシー運転者が傷害を受けた事件
(8)トラック運転者の酒気帯び運転による事故
(9)トラック運転者が救護義務違反の疑いで逮捕された事故
2.平成22年中の大型車のホイール・ボルト折損による車輪脱落事故の状況
(再周知)

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
【1. 重大事故情報=9件】(2月18日〜2月24日分)

(1)乗合バスの車内事故1
 2月17日午前10時25分頃、神奈川県のバス停において、乗合バスが、乗降扱
いを終えて発進したところ、当該バス停で乗車してきた乗客(女性、69才)が転倒
した。
この事故により、転倒した乗客は橈骨骨折の重傷を負った。
事故現場は、緩い上り坂の片側一車線の道路で、当該バスの運転者は、発車の際、注
意喚起のための車内アナウンスは行ったが、車内の乗客の様子を十分に確認すること
なく車両を発進させた模様。

(2)乗合バスが歩行者を轢いた事故
2月18日午後7時頃、福岡県の駅前ロータリーにおいて、乗客を降ろした乗合バス
が待機場所まで移動するため右旋回していたところ、歩行者(女性、65才)を撥ね
た。
この事故により、撥ねられた歩行者は病院に搬送されたが死亡した。
 当該バスの運転者は、警察に対し、運転中「ゴツン」という衝撃を感じたため当該
バスを停車させて確認したところ、当該バスの中央下部に歩行者が倒れていたと話し
ている模様。

(3)乗合バスの車内事故2
2月18日午前8時35分頃、兵庫県のバス停において、乗合バスが停車するため減
速した際、降車準備のため立ち上がった乗客(男性、84才)が転倒した。
この事故により、転倒した乗客が左大腿骨転子部骨折の重傷を負った。
当初、転倒した乗客は、降車扉(中扉)付近の左側の座席に座っていた模様。
なお、当該バスは、ノンステップバスで、座席付近床面に段差はなかった。

(4)乗合バスの車内事故3
 2月18日午前10時20分頃、福岡県のバス停において、乗合バスが乗車扱いを
終えて発車したところ、このバス停で乗車してきた乗客(女性、76才)が転倒し
た。
この事故により、転倒した乗客が左大腿骨付根部骨折の重傷を負った。
事故当時、転倒した乗客は、着席しようとした座席が車両前部のタイヤハウス上で乗
りにくかったため、他の座席に移動しようとしていたが、当該バスの運転者は、着席
しないものと判断し「発車します、動きますのでご注意ください」との車内アナウン
スを実施した後、発車したところ、当該乗客はバランスを崩して転倒した模様。

(5)乗合バスが歩行者を撥ねた事故
 2月20日午後10時45分頃、静岡県において、乗合バスが乗客4名を乗せて運
行中、道路を横断していた歩行者を撥ねた。
この事故により、撥ねられた歩行者が死亡した。
当該バスの運転者は、撥ねられた歩行者が、道路を右から左へ手押し車を押して横断
していたのを発見し、急ブレーキをかけたが間に合わずに撥ねた模様。

(6)乗合バスなどが多重衝突した事故
 2月22日午前2時25分頃、静岡県の高速道(片側二車線)において、乗合バス
が乗員乗客10名を乗せて走行中、当該バスの2台前方を走行していた大型トラック
が大型トレーラに追突したのをきっかけに、その後方を走行していた中型トラックが
当該大型トラックに、当該バスが当該中型トラックに次々と追突した。
この事故により、当該バスの運転者が重傷、当該バスの乗客8名を含む計11名が軽
傷を負った。

(7)タクシー運転者が傷害を受けた事件
 2月18日午前2時30分頃、愛知県において、タクシーに乗車していた男が「金
を取ってくる」と言ってタクシーを降車した後、運転席側に回り込み、運転者を引き
ずり下ろし、殴る蹴るの暴行を加えて逃走した。
この事件で当該タクシーの運転者は顔面打撲の軽傷を負った。
なお当該車両には、防犯用仕切板は設置されていた。

(8)トラック運転者の酒気帯び運転による事故
 2月10日午前11時頃、兵庫県において、トラックが信号待ちで停車していた軽
自動車に追突し、そのはずみで追突された軽自動車が前方に停車していたライトバン
に追突した。
この事故により、当該軽自動車の運転者が負傷した。
警察が現場に到着した際、当該トラックの運転者から酒の臭いがしたため、警察が飲
酒の有無について検査したところ、呼気1リットル中0.2ミリグラムのアルコール
が検出された。
なお、当該トラックの車体が傾いていたため、警察が車両を計量したところ、最大積
載量の5割を越える過積載も判明した。

(9)トラック運転者が救護義務違反の疑いで逮捕された事故
 2月22日午前2時頃、群馬県の片側一車線の道路において、大型トラックがセン
ターラインを越えて走行し、対向してきた貸切バス(乗客39名)と接触したが、当
該トラックはそのまま逃走した。
この事故により、当該バスの乗客1名が軽傷を負った。
当該トラックは、約30分後、事故現場に戻ってきたため、警察は、当該トラックの
運転者を自動車運転過失傷害と道路交通法違反(救護義務違反)疑いで逮捕した。
当該トラックの運転者は、警察に「ぼーっとしていた。」と供述している模様。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
【2.平成22年中の大型車のホイール・ボルト折損による車輪脱落事故の状   
             況(再周知)】

今般、平成22年中の大型車(車両総重量8トン以上又は乗車定員30人以上のト
ラック、バス等)のホイール・ボルト折損による車輪脱落事故の発生状況(速報)が
まとまりました。
<発生状況>
車輪脱落事故は近年減少傾向にありましたが、平成22年に発生した事故は24件あ
り、平成21年に比べ11件増加しています。
平成11年から平成22年までに発生した事故は341件であり、月別の発生状況を
見ると2月に59件、3月に51件と特に2,3月の冬から初春の時期に発生が集中
しています。
また、地域別の発生状況を見ると積雪地域の発生率が高い傾向が見られます。
大型車のホイール・ボルト折損による車輪脱落事故については、一度発生するとその
影響は甚大なものとなります。
そのため、大型車の使用者は、日常点検においてホイール・ナットの脱落・緩みやホ
イール・ボルトの折損等の異常の有無を重点的に点検してください。

※ ホイール・ボルト折損の主な原因は、①ホイール・ボルトの締付力不足、②ホ
イール・ボルトの誤組(スチールホイールにアルミホイール用のボルトを使用する
等)、③ホイール・ボルトの過締めと推定されています。
※ 2,3月に発生が多くなる原因の1つとして、例年10月から12月にかけて夏
用タイヤから冬用タイヤに交換する際に締結不良(締付力不足、誤組、過締等)があ
り、ボルトの疲労破壊が進行して数ヶ月後に集中的に折損し、車輪の脱落が発生する
ことが考えられます。