「事業用自動車安全通信」第86号(H23.2.18)

事業用自動車安全通信」第86号(H23.2.18)

=目 次=
1.重大事故情報=10件(2月10日〜2月17日分)
(1)乗合バスが歩行者を撥ねた事故
(2)貸切バスがトラックと衝突して横転した事故
(3)貸切バスの車両火災事故
(4)タクシーと乗用車が衝突した事故
(5)タクシーがトラックと衝突した事故
(6)タクシー運転者が傷害を受けた事件
(7)トラック運転者の酒気帯び運転による事故1
(8)トラック運転者の酒気帯び運転による事故2
(9)トラックが乗用車2台と衝突した事故
(10)トラックが渋滞の車列に追突した事故
2.平成22年中の大型車のホイール・ボルト折損による車輪脱落事故の状況
(再周知)

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【1.重大事故情報=10件】(2月10日〜2月17日分)

(1)乗合バスが歩行者を撥ねた事故
2月16日午後7時5分頃、滋賀県のバス停付近において、乗客の乗っていない乗合
バスが片側一車線の道路を走行中、当該バスの前方を右から左へ横断していた歩行者
を撥ねた。
この事故により、撥ねられた歩行者は全身を強く打ち死亡した。
事故当時、当該バスの運転者は、バス停に乗客がいなかったため、当該バス停を通過
した際、当該歩行者が道路を横断しているのを発見したため、ブレーキをかけてハン
ドルを右に切って避けようとしたが、間に合わずに当該バスの左前面にて当該歩行者
を撥ねた模様。

(2)貸切バスがトラックと衝突して横転した事故
2月11日午前7時10分頃、神奈川県の高速道路において、貸切バスが乗客9名を
乗せて運行中、自家用トラックが当該バスの側面に衝突し、当該バスが横転した。
この事故で、当該バスの乗客6名が軽傷を負った。
なお、事故現場は片側3車線の直線道路で、当該トラックの運転者は、高速道路の降
りる出口を間違えていることに気付き、減速車線から再度、本線戻ろうとして衝突し
た模様。

(3)貸切バスの車両火災事故
2月16日午前9時20分頃、千葉県において、貸切バスが乗員乗客22名を乗せて
運行中、赤信号で停車したところ、当該バスの後輪部分から出火した。
この火災により、当該バスの後輪タイヤが焼損したが、乗員乗客は避難したため、負
傷者はなし。
当該火災は、駆けつけた消防により消火された。
当該バスは、赤信号で停車しようとしたところ、当該バスの右後輪付近から異音が
し、さらに停車後、左後輪付近からも異音がし、その後左右後輪部分から出火した模
様。

(4)タクシーと乗用車が衝突した事故
2月11日午前7時頃、長野県において、タクシーが乗客6名を乗せ、片側一車線の
直線道路を運行中、対向してきた乗用車と衝突した。
この事故で、タクシーの運転者が重傷、乗客6名と当該乗用車の運転者が軽傷を負っ
た。
当該タクシーの運転者によると、対向してきた乗用車がカーブを曲がった後、スリッ
プして車線を越えてきたのを確認したため、当該タクシーを左端に寄せて停車したと
ころに、当該乗用車が衝突した模様。
事故当時、当該道路は圧雪状態であった。

(5)タクシーがトラックと衝突した事故
2月13日午前0時50分頃、神奈川県において、タクシーが乗客1名を乗せて運行
中、対向してきたトラックと衝突した。
この事故により、当該タクシーの乗客が重傷、当該タクシーの運転者及び当該トラッ
クの運転者が軽傷を負った。
事故現場は、片側2車線の直線道路で、この事故は、当該タクシーが路面の凍結によ
りスリップし、センターラインを越えて対向車線にはみ出したため発生した模様。
なお、当該タクシーの乗客はシートベルトをしていなかった。

(6)タクシー運転者が傷害を受けた事件
2月16日午前1時30分頃、神奈川県において、タクシーに乗車した男性3名のう
ち、助手席に乗車した男が当該タクシー運転者に包丁を突きつけ、もみ合いとなり、
その際に後部座席に乗車した男に頭部を強打され、当該タクシー運転者が危険回避の
ため車外に逃げたところ、追走してきた男に押し倒されて財布(売上金、釣り銭約5
万円)を奪われた。その後、男らは当該タクシーを奪い逃走した。
この事件により、当該タクシーの運転者が右手親指付け根裂傷(2針)、頭部裂傷
(1針)のケガを負った。
その後、当該運転者から警察への通報により、警察が緊急配備を行っていたところ、
犯人と思われる人物を確保したとのこと。
なお、当該車両には、防犯用仕切板は設置されていなかった。

(7)トラック運転者の酒気帯び運転による事故1
2月10日午前0時45分頃、栃木県において、赤信号で停車していたトラックに大
型トラックが追突した。
この事故により、追突されたトラックの運転者が軽傷を負った。
その後の警察の調べにおいて、追突したトラックの運転者から基準値を超えるアル
コールが検知されたため、当該運転者は逮捕された。

(8)トラック運転者の酒気帯び運転による事故2
2月10日午後1時40分頃、広島県の交差点において、大型トラックが左折する
際、隣車線を並走していた乗用車に接触した。
この事故による負傷者はなし。
事故後、警察による現場検証の際、当該トラックの運転者から酒の臭いがしたため、
警察が当該トラックの運転者の呼気を確認したところ、呼気1リットル当たり0.1
5ミリグラム以上のアルコールが検出されたため、当該トラックの運転者は道路交通
法違反(酒気帯び運転)の容疑で現行犯逮捕された。

(9)トラックが乗用車2台と衝突した事故
2 月13日午後3時頃、宮城県において、大型トラックが対向してきた乗用車と正
面衝突した。その後、衝突したはずみで、当該大型トラックは当該乗用車の後ろを
走ってきた別の乗用車と衝突した。
この事故により、最初に衝突した乗用車に乗っていた2名が死亡、最初に衝突した乗
用車の後部座席でチャイルドシートに座っていた子供と、当該トラックの運転者、当
該トラックが2回目に衝突した乗用車の運転者の3名が軽傷を負った。
事故現場は、見通しのよい片側一車線の緩やかなカーブで、事故は、最初に衝突した
乗用車がセンターラインをはみ出してきたため発生した模様。

(10)トラックが渋滞の車列に追突した事故
2月15日午後5時5分頃、愛知県の高速道路において、中型トラックが渋滞の車列
の最後尾に停車していた乗用車に追突した。その後、当該トラックは最初に追突した
乗用車を中央分離帯にはじき飛ばし、さらに前方の乗用車3台に衝突した。
この事故により、最初に追突された乗用車の助手席と後部座席の乗員計3名が死亡
し、その他7名が軽傷を負った。
この事故で、当該高速道路の一部区間が7時間通行止めになった。

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【2.平成22年中の大型車のホイール・ボルト折損による車輪脱落事故の状況
   (再周知)】

今般、平成22年中の大型車(車両総重量8トン以上又は乗車定員30人以上のト
ラック、バス等)のホイール・ボルト折損による車輪脱落事故の発生状況(速報)が
まとまりました。
<発生状況>
車輪脱落事故は近年減少傾向にありましたが、平成22年に発生した事故は24件あ
り、平成21年に比べ11件増加しています。
平成11年から平成22年までに発生した事故は341件であり、月別の発生状況を
見ると2月に59件、3月に51件と特に2,3月の冬から初春の時期に発生が集中
しています。
また、地域別の発生状況を見ると積雪地域の発生率が高い傾向が見られます。
大型車のホイール・ボルト折損による車輪脱落事故については、一度発生するとその
影響は甚大なものとなります。
そのため、大型車の使用者は、日常点検においてホイール・ナットの脱落・緩みやホ
イール・ボルトの折損等の異常の有無を重点的に点検してください。

※ ホイール・ボルト折損の主な原因は、①ホイール・ボルトの締付力不足、②ホ
イール・ボルトの誤組(スチールホイールにアルミホイール用のボルトを使用する
等)、③ホイール・ボルトの過締めと推定されています。
※ 2,3月に発生が多くなる原因の1つとして、例年10月から12月にかけて夏
用タイヤから冬用タイヤに交換する際に締結不良(締付力不足、誤組、過締等)があ
り、ボルトの疲労破壊が進行して数ヶ月後に集中的に折損し、車輪の脱落が発生する
ことが考えられます。