「事業用自動車安全通信」第85号(H23.2.10)

事業用自動車安全通信」第85号(H23.2.10)

=目 次=
1.重大事故情報=6件(2月4日〜2月9日分)
(1)乗合バスが歩行者を轢いた事故
(2)乗合バスが軽トラックと衝突した事故
(3)乗合バスに軽トラックが追突した事故
(4)乗合バスの車内事故
(5)貸切バスがクレーン車と衝突した事故
(6)タクシーが歩行者を撥ねた事故
2.平成22年中の大型車のホイール・ボルト折損による車輪脱落事故の状況
(再周知)

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【1.重大事故情報=6件】(2月4日〜2月9日分)

(1)乗合バスが歩行者を轢いた事故
2月4日午後6時頃、大阪府のバス停付近において、乗合バスが乗客2名を乗せて運
行中、歩行者を轢いた。
この事故により、轢かれた歩行者が死亡した。
警察によると当該運転者は、「ゴンという音に気付いてバスを止めたら人が倒れてい
た」と説明しており、轢かれた歩行者は、当該バスがバス停を出た直後に右後輪に轢
かれた模様。

(2)乗合バスが軽トラックと衝突した事故
2月6日午後3時25分頃、兵庫県において、乗合バスが乗客2名を乗せて運行中、
対向してきた軽トラックと正面衝突した。
この事故により、軽トラックの運転者が死亡し、当該バスの乗客3名と当該バスの運
転者が軽傷を負った。
事故は、軽トラックがセンターラインを越えて走行してきたことにより発生した模
様。

(3)乗合バスに軽トラックが追突した事故
2月7日午前7時50分頃、栃木県において、乗合バスが乗客約20名を乗せて運行
中、乗客の乗降扱いのためバス停に停車していたところ、当該バスの後方から走行し
てきた軽トラックが当該バスに追突した。
この事故により、衝突した軽トラックの運転者(男性、84才)が間もなく死亡し
た。当該バスの乗客に負傷者はなし。

(4)乗合バスの車内事故
2月8日午前11時頃、秋田県のバス停において、乗合バスが乗車扱いを終えて発車
したところ、当該バス停で乗車した乗客(女性、73才)が転倒した。
この事故により、転倒した乗客が右大腿骨頸部骨折の重傷を負った。
事故当時、当該バスの運転者は、車内確認用の鏡には乗客が映っていなかったため、
乗客全員が着席したと思い、当該バスを発車させたが、転倒した乗客は、両手に持っ
た荷物を置くために通路に立って荷物を置こうとしていたため、バランスを崩して転
倒した模様。
また、発車の際、注意喚起のための車内アナウンスは行っていなかった。

(5)貸切バスがクレーン車と衝突した事故
2月7日午前7時50分頃、岡山県において、貸切バスが登校中の小学生55名を乗
せて運行中、道路脇の敷地から出てきたクレーン車のアームと衝突し、そのはずみで
近くの電柱や会社の事務所に衝突した。
この事故により、当該バスに乗っていた小学生のうち19名が、頭を打つなどの軽傷
を負った。また、当該バスが衝突した事務所の従業員1名が軽傷を負った。
当該バスの運転者は、「クレーン車のアームが道路に出ていたのでかわしたつもり
だったが、かわしきれなかった」と話している模様。

(6)タクシーが歩行者を撥ねた事故
2月4日午後11時25分頃、東京都の交差点において、タクシーが片側二車線の道
路を空車にて時速約70km/h(制限速度50km/h)で直進していたところ、自
転車を押して横断歩道上を歩行中の歩行者の発見が遅れ、急ブレーキをかけたが間に
合わず、当該歩行者を撥ねた。
この事故により、撥ねられた歩行者は死亡した。
当該交差点は、立体交差の片側二車線の陸橋の本線と側道が合流した直後の交差点で
あり、撥ねられた歩行者は、交差点向こう側の横断歩道を渡っていた模様。

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【2.平成22年中の大型車のホイール・ボルト折損による車輪脱落事故の状況
   (再周知)】

今般、平成22年中の大型車(車両総重量8トン以上又は乗車定員30人以上のト
ラック、バス等)のホイール・ボルト折損による車輪脱落事故の発生状況(速報)が
まとまりました。
<発生状況>
車輪脱落事故は近年減少傾向にありましたが、平成22年に発生した事故は24件あ
り、平成21年に比べ11件増加しています。
平成11年から平成22年までに発生した事故は341件であり、月別の発生状況を
見ると2月に59件、3月に51件と特に2,3月の冬から初春の時期に発生が集中
しています。
また、地域別の発生状況を見ると積雪地域の発生率が高い傾向が見られます。
大型車のホイール・ボルト折損による車輪脱落事故については、一度発生するとその
影響は甚大なものとなります。
そのため、大型車の使用者は、日常点検においてホイール・ナットの脱落・緩みやホ
イール・ボルトの折損等の異常の有無を重点的に点検してください。

※ ホイール・ボルト折損の主な原因は、①ホイール・ボルトの締付力不足、②ホ
イール・ボルトの誤組(スチールホイールにアルミホイール用のボルトを使用する
等)、③ホイール・ボルトの過締めと推定されています。
※ 2,3月に発生が多くなる原因の1つとして、例年10月から12月にかけて夏
用タイヤから冬用タイヤに交換する際に締結不良(締付力不足、誤組、過締等)があ
り、ボルトの疲労破壊が進行して数ヶ月後に集中的に折損し、車輪の脱落が発生する
ことが考えられます。