事業用自動車安全通信」第84号(H23.2.4)

事業用自動車安全通信」第84号(H23.2.4)

=目 次=
1.重大事故情報=6件(1月28日〜2月3日分)
(1)乗合バスに乗車しようとした乗客が転倒した事故
(2)乗合バスの車内事故
(3)乗合バスが乗用車と衝突した事故
(4)貸切バスの火災事故
(5)タクシーが歩行者を撥ねた事故
(6)トラック運転者を酒気帯び運転の疑いで逮捕
2.平成22年中の大型車のホイール・ボルト折損による車輪脱落事故の状況
(再周知)

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【1.重大事故情報=6件】(1月28日〜2月3日分)

(1)乗合バスに乗車しようとした乗客が転倒した事故
平成22年12月23日午後3時40分頃、福岡県のバス停において、乗合バスが乗
車扱いのためドア(折りたたみ式の中扉)を開けたところ、当該バスに乗車しようと
していた乗客が転倒した。
この事故により、転倒した乗客(82才、女性)が手首付近を骨折して入院する重傷
を負った。
当該バスの運転者は、当該バス停で乗客2名の乗車扱い後、他に乗車する乗客がいな
いことをミラーで確認し、ドアを閉めたところ、先に乗車した乗客から「まだ1名い
ます」と声をかけられたため、後方ドアの外側をミラーで再度確認したところ、転倒
した女性がドアを叩いているのを発見したため、慌ててドアを開けた模様。
また、その際、マイクで「ドアが開きますのでご注意下さい。」等の声をかけるのを
忘れていたとのこと。

(2)乗合バスの車内事故
1月17日午後0時30分頃、福岡県において、乗合バスが車線変更したところ、乗
客1名が転倒した。
この事故により、転倒した乗客(88才、女性)が腰椎圧迫骨折により全治約1ヶ月
の重傷を負った。
事故当時、転倒した乗客は着座していた中ドア前の座席から前方の座席に移動するた
め、立ち上がったが、その際に、当該バスが、前方の交差点で右折するため、第1走
行帯から第3走行帯に車線変更したことにより、当該乗客はバランスを崩して転倒し
た模様。

(3)乗合バスが乗用車と衝突した事故
2月2日 午前10時15分頃、千葉県において、乗合バスが乗客40名を乗せ片側
一車線の道路を走行中、道路右側から当該バスの前方に入ってきた乗用車と衝突し
た。
この事故により、当該バスの乗客1名が左足下腿骨を骨折する重傷、乗客4名と当該
乗用車の運転者が軽傷を負った。
なお、当該バスの運転者は、事故現場の約15m手前において、右側のガソリンスタ
ンドから道路に出ようとしている当該乗用車を確認していた模様。

(4)貸切バスの火災事故
1月30日午後10時30分頃、千葉県において、路肩に駐車していた貸切バスに火
災が発生した。
この火災により、当該バスの左後輪付近上部の座席2列と左後輪タイヤが燃えたが、
警察からの連絡を受けた消防により消火された。
この事故による負傷者はなし。
当該バスは、中国人ツアー客を六本木のホテルで降ろした後、帰庫する途中であった
が、当該バスの運転者が休憩のために路肩に当該バスを駐車し、車両から離れたてい
たところ出火した模様。

(5)タクシーが歩行者を撥ねた事故
1月29日午後10時30分頃、神奈川県において、タクシーが空車にて走行中、歩
行者を撥ねた。
この事故により、撥ねられた歩行者(57歳、男性)が、胸などを強く打ち死亡し
た。
当該事故現場は、片側2車線の信号機や横断歩道のない直線道路。
当該タクシーに搭載されていたドライブレコーダの映像によると、当該歩行者は、体
勢を崩して歩道から車道側に転倒してきた模様。

(6)トラック運転者を酒気帯び運転の疑いで逮捕
1月29日午後9時頃、広島県において、ふらつきながら走行しているトラックを発
見したパトロール中の警察官が、当該トラックを停車させ、当該トラックの運転者に
話を聴いた際、当該運転者から酒の臭いがしたため、当該警察官が当該運転者の呼気
を確認したところ、基準値を超えるアルコールが検知されたため、当該運転者は道路
交通法違反(酒気帯び運転)の疑いで逮捕された。
この乗務による事故及び負傷者はなし。
当該運転者は、同日の午後4時頃、当日の乗務を終えたが、翌日の乗務が午前1時の
出庫予定であったため、当該トラックに乗車したまま自宅へ帰宅し、午後5時頃、食
事をとった際に飲酒(焼酎のお湯割りを1杯)した。
その後、雪が降り出したため、午後8時頃、予定よりも早く目的地へ向け出発した
が、その際に乗務前の点呼は受けなかった模様。

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【2.平成22年中の大型車のホイール・ボルト折損による車輪脱落事故の状況
  (再周知)】

今般、平成22年中の大型車(車両総重量8トン以上又は乗車定員30人以上のト
ラック、バス等)のホイール・ボルト折損による車輪脱落事故の発生状況(速報)が
まとまりました。
<発生状況>
車輪脱落事故は近年減少傾向にありましたが、平成22年に発生した事故は24件あ
り、平成21年に比べ11件増加しています。
平成11年から平成22年までに発生した事故は341件であり、月別の発生状況を
見ると2月に59件、3月に51件と特に2,3月の冬から初春の時期に発生が集中
しています。
また、地域別の発生状況を見ると積雪地域の発生率が高い傾向が見られます。
大型車のホイール・ボルト折損による車輪脱落事故については、一度発生するとその
影響は甚大なものとなります。
そのため、大型車の使用者は、日常点検においてホイール・ナットの脱落・緩みやホ
イール・ボルトの折損等の異常の有無を重点的に点検してください。

※ ホイール・ボルト折損の主な原因は、①ホイール・ボルトの締付力不足、②ホ
イール・ボルトの誤組(スチールホイールにアルミホイール用のボルトを使用する
等)、③ホイール・ボルトの過締めと推定されています。
※ 2,3月に発生が多くなる原因の1つとして、例年10月から12月にかけて夏
用タイヤから冬用タイヤに交換する際に締結不良(締付力不足、誤組、過締等)があ
り、ボルトの疲労破壊が進行して数ヶ月後に集中的に折損し、車輪の脱落が発生する
ことが考えられます。