「事業用自動車安全通信」第83号(H23.1.28)

事業用自動車安全通信」第83号(H23.1.28)

=目 次=
1.重大事故情報=3件(1月21日〜1月27日分)
(1)貸切バスが横転した事故
(2)タクシー運転者を救護義務違反の疑いで逮捕
(3)タクシーが歩行者を撥ねた事故
2.平成22年中の大型車のホイール・ボルト折損による車輪脱落事故の状況
(再周知)

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【1.重大事故情報=3件】(1月21日〜1月27日分)

(1)貸切バスが横転した事故
1月26日午前9時頃、北海道において、貸切バスが乗員乗客36名を乗せて走行
中、当該バスの前方を走行していたトラックがブレーキをかけたため、当該バスの運
転者もブレーキをかけたところスリップし、道路の左側に逸脱して横転した。
この事故により、当該バスの乗客5名が軽傷を負った。
事故当時、当該トラックの前方の交差点に右折待ちの乗用車が停車していた模様。
また、道路はアイスバーンの状態であり、当該バスはスタッドレスタイヤが装着され
ていたが、チェーンは装着されていなかった。

(2)タクシー運転者を救護義務違反の疑いで逮捕
1月20日午前0時20分頃、福岡県において、タクシーが走行中、道路を横断して
いた女性を撥ねた。
この事故により、撥ねられた女性が負傷(足首骨折)した。
事故後、当該タクシーはそのまま走り去ったが、その後の警察の調べにより、同日午
前9時頃、当該タクシーの運転者は救護義務違反の疑いで逮捕された。
なお、当該タクシーの運転者は、同日午前2時に所属する営業所に戻り、終業点呼を
受けた際には、当日の運行について「異常なし」と報告しており、また、警察の取り
調べに対しては「気がつかなかった」と話している模様。

(3)タクシーが歩行者を撥ねた事故
1月22日午前2時25分頃、宮城県において、空車のタクシーが片側三車線の道路
(制限速度50㎞/h)を走行中、歩行者(72才、男性)を跳ねた。
この事故により、撥ねられた歩行者は、頭などを強く打ち死亡した。
事故は、当該タクシーが、信号のある丁字路の手前の第三通行帯(一番中央分離帯
りの車線)付近を青信号に従い約60㎞/hで直進していたところ、当該歩行者が中央
分離帯から飛び出してきた模様。

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【2.平成22年中の大型車のホイール・ボルト折損による車輪脱落事故の状況
 (再周知)

今般、平成22年中の大型車(車両総重量8トン以上又は乗車定員30人以上のト
ラック、バス等)のホイール・ボルト折損による車輪脱落事故の発生状況(速報)が
まとまりました。
<発生状況>
車輪脱落事故は近年減少傾向にありましたが、平成22年に発生した事故は24件あ
り、平成21年に比べ11件増加しています。
平成11年から平成22年までに発生した事故は341件であり、月別の発生状況を
見ると2月に59件、3月に51件と特に2,3月の冬から初春の時期に発生が集中
しています。
また、地域別の発生状況を見ると積雪地域の発生率が高い傾向が見られます。
大型車のホイール・ボルト折損による車輪脱落事故については、一度発生するとその
影響は甚大なものとなります。
そのため、大型車の使用者は、日常点検においてホイール・ナットの脱落・緩みやホ
イール・ボルトの折損等の異常の有無を重点的に点検してください。

※ ホイール・ボルト折損の主な原因は、①ホイール・ボルトの締付力不足、②ホ
イール・ボルトの誤組(スチールホイールにアルミホイール用のボルトを使用する
等)、③ホイール・ボルトの過締めと推定されています。
※ 2,3月に発生が多くなる原因の1つとして、例年10月から12月にかけて夏
用タイヤから冬用タイヤに交換する際に締結不良(締付力不足、誤組、過締等)があ
り、ボルトの疲労破壊が進行して数ヶ月後に集中的に折損し、車輪の脱落が発生する
ことが考えられます。