「事業用自動車安全通信」第81号(H23.1.14)

事業用自動車安全通信」第81号(H23.1.14)

=目 次=
1.重大事故情報=11件(1月7日〜1月13日分)
(1)乗合バスが降車後の乗客を轢いた事故
(2)乗合バスの車内事故
(3)乗合バスの運転者が覚せい剤取締法違反の疑いで逮捕
(4)乗合バスが乗用車と衝突した事故
(5)乗合バスの車両火災事故
(6)乗合バスにオートバイが追突した事故
(7)貸切バスが歩行者を撥ねた事故
(8)貸切バスが乗用車と衝突した事故
(9)タンクローリーにトラックが追突した事故
(10)タンクローリーが乗用車と衝突した事故
(11)大型トラックがワゴン車等と衝突した事故
2.平成22年中の大型車のホイール・ボルト折損による車輪脱落事故の状況 

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【1. 重大事故情報=11件】(1月7日〜1月13日分)

(1)乗合バスが降車後の乗客を轢いた事故
 1月6日午後7時30分頃、長崎県の運送事業者の車庫において、乗合バスが降車
扱い後、車庫入れのために発車したところ、当該車庫で降車した乗客のうち1名を轢
いた。
この事故により、轢かれた乗客が死亡した。
この事故は、当該乗合バスの運転者が、轢かれた乗客が降車後に当該バスの左斜め前
にしゃがんでいた事に気付かずにハンドルを左に切って発車したため、発生した模
様。

(2)乗合バスの車内事故
 1月7日午後3時5分頃、長崎県のバス停において、乗合バスが乗車扱いを終え
て、当該バスの運転者が「発車します。」とアナウンスした後に、当該バスを発車さ
せたところ、当該バス停から乗車した乗客(女性、59才)が転倒した。
この事故により、転倒した乗客は、左橈骨(とうこつ)遠位端骨折の重傷を負った。
事故当時、転倒した乗客は、バス後方の乗降口から運転者席後ろの座席に着席するた
め車内を移動していた。
当該バスの運転者は、発車の際に鏡で車内を確認をしたが、乗客30名全員が着席し
たものと思っていた模様。

(3)乗合バスの運転者が覚せい剤取締法違反の疑いで逮捕
 1月7日午後10時頃、東京都の路上において、休暇中の乗合バスの運転者(41
才)が警察から職務質問を受けた際、リュックサックの中に覚せい剤約1.6グラム
と注射器3本を所持していた。このため、警察は、12日までに覚せい剤取締法違反
の疑いで、当該バス運転者を逮捕した。
警察によると、当該バスの運転者は、「1年ぐらい前から使用していた。」などと供
述しており、覚せい剤使用の疑いでも調べている模様。

(4)乗合バスが乗用車と衝突した事故
 1月8日午後0時10分頃、東京都において、乗客1名を乗せた中型の乗合バス
が、交差点を青信号で直進通過しようとしたところ、左側より信号無視で交差点に進
入してきた乗用車と衝突した。その後、衝突の弾みで、当該バスは右へ進み、歩道を
乗り越え、駐車場を約15メートル斜めに進み、約60センチの段差を落下して停車
した。
この事故により、当該バスの運転者及び乗客1名、当該乗用車の運転者及び助手席の
子供が軽傷を負った。

(5)乗合バスの車両火災事故
 1月10日午前9時20分頃、佐賀県の高速道路において、乗客19名を乗せた乗
合バスが走行中、当該バスの運転者が当該バスからの異音を感じたため、当該バスを
路肩に緊急停車するとともに確認したところ、後輪車軸中央付近に炎を確認したた
め、乗客を避難させ、当該バスに積んであった消火器にて消火作業を行うとともに、
高速道路の非常電話を使用して道路管理者に通報した。
この事故による負傷者はなし。
当該火災は、当該バスの運転者による消火作業で鎮火しており、消防による作業は行
われなかった模様。
なお、当該バスの乗客は後続車に乗り換えて目的地へ向かった模様。

(6)乗合バスにオートバイが追突した事故
 1月12日午前6時頃、神奈川県において、乗合バスが停留所にて乗降扱いのため
停車していたところ、後方から走行してきたオートバイが当該バスの後面右側に追突
した。
この事故により、当該オートバイの運転者が頭などを強く打ち、病院に運ばれたが同
日の午後8時頃に死亡が確認された。バスの乗客約20名に負傷者はなし。
当該事故現場は、バス専用の停車帯のない片側1車線の直線道路だった。

(7)貸切バスが歩行者を撥ねた事故
 1月8日午後0時50分頃、千葉県において、貸切バスが回送運行中、交差点を青
信号で左折したところ、前方から横断歩道を通行してきた歩行者(90才男性)を撥
ねた。
この事故により、撥ねられた歩行者は病院に搬送されたが死亡した。

(8)貸切バスが乗用車と衝突した事故
 1月8日午後3時40分頃、岐阜県において、名古屋方面へ走行中の貸切バスが対
向してきた乗用車と正面衝突した。
この事故により、乗用車を運転していた男性が死亡、同乗していた女性が意識不明の
重体となった。バスの乗客4名と運転者に負傷はなし。
なお、現場は片側一車線の緩いカーブで、事故当時、当該乗用車は対向車線にはみ出
していた模様。

(9)タンクローリーにトラックが追突した事故
 1月6日午後2時頃、北海道の交差点において、タンクローリーが赤信号で停車
中、後方を走行していたクレーン付きトラック(自家用)が追突したため、当該タン
クローリーのタンク後面が損傷し、積載していた灯油20キロリットルのうち、約9
00リットルが漏洩した。
この事故による負傷者はなし。
事故当時、現場は地吹雪状態で、路面はアイスバーンだった。

(10)タンクローリーが乗用車と衝突した事故
 1月9日午前5時30分頃、大阪府の信号のない交差点において、タンクローリー
が直進する際、右から来た乗用車と衝突した。
この事故により、乗用車に乗っていた男性3名全員が死亡した。当該タンクローリー
の運転者に負傷はなし。
 警察によると、巡回中のパトカーが、蛇行運転していた当該乗用車を見つけ、停止
を求めたところ、当該乗用車が信号無視を繰り返して逃走し、当該交差点でタンク
ローリーの右側面に衝突したという。
 なお、当該タンクローリーは、ガソリンを積みに向かう途中で、タンク内は空だっ
た模様。

(11)大型トラックがワゴン車等と衝突した事故
 1月10日午後5時40分頃、新潟県の高速道路において、大型トラックが、対向
して来たワゴン車と正面衝突した。当該ワゴン車は、反動で元の車線に戻り、当該ワ
ゴン車の後方を走行して来た乗用車と衝突した。また、当該大型トラックの後方を走
行していた車両は、当該大型トラックに追突した。
この事故により、当該ワゴン車の運転者と助手席の同乗者が車内で死亡、後部座席の
同乗者は車外に投げ出されて死亡し、衝突した乗用車の運転者と同乗者2名が軽傷を
負った。当該トラックの運転者及び当該トラックに衝突した車両の運転者に負傷はな
し。
事故現場は、片側1車線の中央分離帯がない直線道路で、事故当時、路面は凍結して
おり、当該ワゴン車はスリップしたことにより対向車線にはみ出した模様。

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【2. 平成22年中の大型車のホイール・ボルト折損による車輪脱落事故の状況

今般、平成22年中の大型車(車両総重量8トン以上又は乗車定員30人以上のト
ラック、バス等)のホイール・ボルト折損による車輪脱落事故の発生状況(速報)が
まとまりました。
<発生状況>
車輪脱落事故は近年減少傾向にありましたが、平成22年に発生した事故は24件あ
り、平成21年に比べ11件増加しています。
平成11年から平成22年までに発生した事故は341件であり、月別の発生状況を
見ると2月に59件、3月に51件と特に2,3月の冬から初春の時期に発生が集中
しています。
また、地域別の発生状況を見ると積雪地域の発生率が高い傾向が見られます。
大型車のホイール・ボルト折損による車輪脱落事故については、一度発生するとその
影響は甚大なものとなります。
そのため、大型車の使用者は、日常点検においてホイール・ナットの脱落・緩みやホ
イール・ボルトの折損等の異常の有無を重点的に点検してください。

※ ホイール・ボルト折損の主な原因は、①ホイール・ボルトの締付力不足、②ホ
イール・ボルトの誤組(スチールホイールにアルミホイール用のボルトを使用する
等)、③ホイール・ボルトの過締めと推定されています。
※ 2,3月に発生が多くなる原因の1つとして、例年10月から12月にかけて夏
用タイヤから冬用タイヤに交換する際に締結不良(締付力不足、誤組、過締等)があ
り、ボルトの疲労破壊が進行して数ヶ月後に集中的に折損し、車輪の脱落が発生する
ことが考えられます。