「事業用自動車安全通信」第111号(H23.9.2)

事業用自動車安全通信」第111号(H23.9.2)

=目 次=
1.重大事故等情報=12件(8月26日〜9月1日分)
(1)乗合バスの車内事故1
(2)乗合バスの車内事故2
(3)乗合バスが対向してきた乗用車と衝突した事故
(4)貸切バスが対向してきた軽トラックと衝突した事故
(5)貸切バスの車両火災事故
(6)タクシー運転者が乗客から殴られた事件
(7)タクシー運転者が乗客から暴行を受けた事件
(8)タクシーがカーブでオートバイと衝突した事故
(9)タクシーが道路に座っていた男性を撥ねた事故
(10)タクシー同士の多重衝突事故
(11)トラック運転者が酒気帯び運転による事故
(12)タンク車が停車中のトラックに追突した事故

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【1.重大事故等情報=12件】(8月26日〜9月1日分)

(1)乗合バスの車内事故1
8月26日午後3時45分頃、新潟県において、乗合バスが乗客6名(車椅子に乗っ
た乗客1名を含む)を乗せて運行中、道路左側の駐車車両を避けるため、対向車線に
はみ出して走行しようとしたが、対向してきた車両に気付くのが遅れたため急ブレー
キをかけたところ、車椅子に乗った乗客が転倒した。
この事故により、転倒した車椅子に乗った乗客が右上腕部幹部骨折の重傷を負った。
ほかの乗客に負傷者はなし。
事故当時、当該車椅子は、車椅子の車輪の前方に三角形の輪留めをしていたが、ベル
トなどにより当該バスに固定されていなかった。
また、当該バスの運転者は、当該駐車車両の先にあるバス停に気を取られていた模
様。

(2)乗合バスの車内事故2
8月27日午前10時50分頃、神奈川県において、乗合バスが運行中、乗車扱いの
ためバス停で停車し発車したところ、当該バス停から乗車してきた乗客1名(女性、
72才)が転倒した。
この事故により、転倒した乗客が腰椎圧迫骨折による重傷を負った。
この事故は、当該乗合バスの運転者が発車する際のアナウンスのみ実施し、乗客の着
席を確認しなかったため発生した模様。

(3)乗合バスが対向してきた乗用車と衝突した事故
8月30日午後5時40分頃、北海道において、乗合バスが乗客5名を乗せて運行
中、対向からきた乗用車と衝突した。
この事故により、対向してきた乗用車の運転者が死亡し、同乗者2名のうち1名が重
傷、1名が軽傷を負った。また、当該バスの運転者及び乗客3名が軽傷を負った。
事故現場は、片側一車線の当該バスから見て右カーブの道路で、事故当時、対向して
きた乗用車は、追い越しをするためセンターラインを越えて走行していた模様。

(4)貸切バスが対向してきた軽トラックと衝突した事故
8月28日午前7時頃、奈良県において、貸切バスが乗客32名を乗せて緩やかな上
り坂の右カーブを走行中、センターラインを越えて走行してきた軽トラックと衝突し
た。
この事故により、当該軽トラックの運転者が死亡し、当該貸切バスの運転者が軽傷を
負った。当該貸切バスの乗客に負傷者はなし。
事故当時、当該貸切バスの運転者は、蛇行してきた当該軽トラックを確認したため、
ハンドルを左にきって避けようとしたが、間に合わなかった模様。

(5)貸切バスの車両火災事故
8月30日午後5時20分頃、熊本県の高速道路において、貸切バス乗客36名、添
乗員1名を乗せて運行中、当該バスの右側の前輪タイヤ付近から煙が発生しているの
を当該バスの運転者が確認したため、路肩に停車し、乗客を避難させた後、当該バス
に備えられていた消火器及び当該バスに追走していたネクスコの車両に備えられてい
た消火器により消火作業を行い発煙がおさまった。
この事故により、乗客1名が避難する際に足を捻挫する軽傷を負った。
当該バスは、発煙地点の約6キロメートル及び約2キロメートル手前の2カ所で、前
輪タイヤ付近からの異音やハンドルに振動を感じたため、その都度、路肩に停車し、
当該バスを確認したものの異常が認められなかった。
発煙地点の約2キロメートル手前で停車した際、たまたま通りかかったネクスコの職
員に事情を説明し、次のサービスエリアへ時速約50キロメートルで移動している途
中に発煙した模様。
なお、警察と消防へは、ネクスコの職員が通報したが、消防が駆けつけた時には既に
発煙はおさまっていた模様。

(6)タクシー運転者が乗客から殴られた事件
8月26日午前4時頃、石川県において、タクシーが乗客の指示した場所に停車した
ところ、当該乗客が運賃を支払わずに降車しようとしたため、当該タクシーの運転者
が運賃の支払いを促したところ、当該タクシーの乗客が当該タクシーの運転者の頭部
や胸部を殴り、逃走した。
当該タクシーの運転者は、直ちに警察へ通報し、駆けつけた警察は、現場付近にいた
当該タクシーの乗客を逮捕した。
警察の調べによると、当該タクシーの乗客は、降車の際に運賃が通常より高かったこ
とに腹を立て、運賃を支払わずに降車しようとした模様。
なお、当該タクシーの車両には、防護板を設置していたが、当該タクシーの運転者
は、防護板の無い部分から暴行を受けた模様。

(7)タクシー運転者が乗客から暴行を受けた事件
8月26日午前4時30分頃、東京都において、タクシーが乗客の自宅前に停車した
ところ、当該タクシーの乗客は「1000円に負けろ」と要求したのち、運賃を払わ
ず自宅マンションへ逃走した。このため、当該タクシーの運転者が乗客の後を追い、
再度、運賃を請求したところ、当該タクシーの乗客から頭や腹部などに暴行を受け
た。
この事件により、当該タクシーの運転者は、頭部打撲、頸椎捻挫の軽傷を負った。
その後、当該タクシーの運転者は、コンビニエンスストアに駆け込み、当該コンビニ
エンスストアの店員が警察に通報し、駆けつけた警察官が当該タクシーの乗客を逮捕
した。
事件当時、当該タクシーの乗客は酒に酔っていた模様。

(8)タクシーがカーブでオートバイと衝突した事故
8月27日午前1時5分頃、広島県において、タクシーが空車で片側一車線の道路を
走行中、対向してきたオートバイと衝突した。
この事故により、当該オートバイの運転者が死亡した。
事故現場は、当該タクシーから見て登り坂の右カーブで、事故当時、当該オートバイ
は、カーブで転倒してセンターラインを越えてきた模様。

(9)タクシーが道路に座っていた男性を撥ねた事故
8月27日午前2時15分頃、神奈川県において、タクシーが空車で片側三車線の道
路の一番左側の車線を走行中、当該車線の中央付近に座っていた男性(45才)を発
見したため、ブレーキをかけたが間に合わず撥ねた。
この事故により、当該男性が死亡した。
事故当時、当該タクシーは、制限速度時速60キロメートルの道路を時速67キロ
メートルで走行していた模様。

(10)タクシー同士の多重衝突事故
9月1日午前3時30分頃、東京都の高速道路において、タクシーが走行中、前方で
発生したハイヤーに追突した事故により停車中の別のタクシーに追突した。
この事故により、当該ハイヤーに追突したタクシーの運転者が死亡し、当該ハイヤー
の運転者及び最後に追突したタクシーの運転者が軽傷を負った。
事故当時、当該ハイヤーの運転者が前方で停車中の車両を確認したため停車したとこ
ろ、後方から来たタクシーが追突した。このため、最初に追突したタクシーの運転者
は、トランクから三角表示板を取り出そうと車外に出ていたところ、後方から来たタ
クシーに追突されて挟まれた模様。
なお、関係する3両は全て空車だった。

(11)トラック運転者が酒気帯び運転による事故
8月25日午後6時10分頃、東京都において、トラックが片側二車線の道路の左側
の車線を走行中、当該道路の右側の車線を走行していた車両と接触した。警察の現場
検証の際、当該トラックの運転者から酒の臭いがしたため、警察は飲酒について検査
したところ、呼気1リットル中0.20ミリグラムのアルコールが検出された。
この事故による負傷者はなし。
当該トラックの運転者は、千葉県内で荷下ろしを終えた後、コンビニエンスストア
酒を購入し、酒を飲みながら運転し続けた模様。

(12)タンク車が停車中のトラックに追突した事故
8月26日午前2時40分頃、山梨県の高速道路において、大型タンク車が走行中、
変速機の故障により走行車線にはみ出した状態で路肩に停車していた小型トラックに
追突し、当該タンク車から塩酸(約500キログラム)が漏洩した。
この事故により、追突されたトラックの運転者が重傷を負い、当該タンク車の運転者
が軽傷を負った。
警察の発表によると、流出した塩酸を水で薄めるとともに、当該タンク車のタンクに
残った塩酸を別のタンク車に移す作業を行った模様。
当該道路は、一部区間が約8時間通行止めとなった。
なお、塩酸は揮発性だが、付近に住宅はなく、体調不良を訴える住民はいなかった模
様。

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