「事業用自動車安全通信」第78号(H22.12.17)

事業用自動車安全通信」第78号(H22.12.17)

=目 次=
1.重大事故情報=11件(12月7日〜12月15日分)
(1)乗合バスの車内事故1
(2)乗合バスが路面電車接触した事故
(3)乗合バスの車内事故2
(4)乗合バスの車内事故3
(5)タクシーがトラックから落ちた男性を轢いた事故
(6)タクシーが路上に倒れていた男性を轢いた事故
(7)タクシーが乗用車と衝突した事故
(8)タクシーが歩行者を撥ねた事故
(9)ダンプカー運転者を救護義務違反等の疑いで逮捕
(10)タンクローリが横転して灯油が流出した事故
(11)ダンプカーがワゴン車と衝突した事故
2.自動車運送事業の監査方針、行政処分基準等を改正しました。
3.年末年始の輸送等に関する安全総点検を実施しましょう。(再周知)

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
【1. 重大事故情報=11件】(12月7日〜12月15日分)

(1)乗合バスの車内事故1
12月7日午後4時頃、大阪府において、乗合バスが乗客30名を乗せて運行中、交
差点手前で急ブレーキをかけたところ、手すりにつかまって立っていた乗客1名(8
5才、女性)が転倒した。
この事故により、転倒した乗客が大腿骨骨折の重傷を負った。
この事故は、当該バスの運転者が、当該交差点で右折するため右折専用車線を走行し
ていた際に、当該交差点の信号が黄色になり、当該バスの前方の車両が停車したた
め、当該この運転者が急ブレーキをかけたことにより発生した模様。

(2)乗合バスが路面電車接触した事故
12月9日午後8時40分頃、鹿児島県の駅前ロータリー横の交差点において、回送
運行中の乗合バスが、路面電車の軌道を横切り、右折により当該ロータリーに進入し
ようとしたところ、当該交差点の左方向から来た路面電車接触した。
この事故による負傷者はなし。
この事故は、当該バスの運転者が、当該交差点の手前で一時停止した際に、路面電車
が左方の電停に停車中であることを確認したため、当該交差点を右折し始めたが、右
方向からの通行車両に気をとられていたことから、当該路面電車が発車して接近して
いることに気付かなかったことにより発生した模様。

(3)乗合バスの車内事故2
12月11日午後5時10分頃、福岡県において、乗合バスが乗客35名を乗せて運
行中、急ブレーキをかけたところ、中扉付近で手すりに掴まり立っていた乗客1名
(79才、女性)がバランスを崩して転倒した。
この事故により、転倒した乗客が第二腰椎圧迫骨折の重傷を負った。
この事故は、当該バスの運転者が、当該バスの前方を走行していた乗用車が渋滞の影
響で停車したことに気付くのが遅れ、急ブレーキをかけたため発生した模様。

(4)乗合バスの車内事故3
12月13日午後2時30頃、神奈川県において、乗合バスが乗客17名を乗せて運
行中、乗車扱いのためバス停に停車し、乗客3名を乗車させて発車したところ、当該
バス停で乗車してきた乗客1名(83才、女性)が転倒した。
この事故により、転倒した乗客が尾骨骨折の重傷を負った。
事故当時、当該乗合バスの運転者は、転倒した乗客が乗車した後、車内後方に移動し
て握り棒を握ったのを確認したため、車内アナウンスを実施して発進したが、シフト
チェンジの際の変速ショックにより、当該乗客はバランスを崩し、転倒した模様。

(5)タクシーがトラックから落ちた男性を轢いた事故
12月8日午前1時35分頃、愛知県の交差点において、大型トラックから落ちた男
性が後続のタクシーに轢かれた。
この事故により、轢かれた男性は死亡した。
事故当時、当該トラックの運転者は、赤信号で停車中、当該男性がいきなり当該ト
ラックの助手席のドアを開け、大声を上げたため恐怖を感じ、信号が青に変わるのと
同時に当該トラックを発進させたところ、当該男性は当該トラックから交差点内に落
とされ、当該トラックはそのまま走り去った模様。
また、当該タクシーの運転者は、交差点で青信号に従い直進していたところ、ショッ
クを感じたが人を轢いたとは思わず、乗客を乗せていたことと目的地まであと少し
だったということもあり、そのまま走行を続け、乗客を降ろしてから事故現場に戻っ
たところ、人を轢いたことが判明した模様。

(6)タクシーが路上に倒れていた男性を轢いた事故
12月13日午前2時30分頃、大阪府において、タクシーが走行中、道路上に倒れ
ていた男性を轢いた。
この事故により轢かれた男性が死亡した。
当該タクシーにはドライブレコーダが装着されており、事故後、事業者が警察立ち会
いのもと、当該ドライブレコーダに記録されていた画像を確認したところ、路上に倒
れている男性の姿及び当該タクシーが回避行動をとる様子が記録されており、当該タ
クシーの運転者は、轢かれた男性が道路のセンターラインよりに倒れているのを発見
し、回避行動をとったが間に合わずに轢いた模様。
なお、当該タクシーの運転者は自動車運転過失致死で逮捕された。

(7)タクシーが乗用車と衝突した事故
12月14日午後10時頃、宮城県において、タクシーが乗客1名をのせて片側二車
線の見通しのよい直線道路を走行中、対向してきた乗用車と衝突した。
この事故により、当該タクシーの運転者が全身を強く打って死亡、当該タクシーの乗
客が足と肩の骨を折って重傷を負い、追突された軽自動車の運転者及び追突した乗用
車の運転者もそれぞれ負傷した。
当該事故は、乗用車が前を走る軽自動車に衝突し、その弾みで対向車線にはみ出した
ことにより発生した模様。

(8)タクシーが歩行者を撥ねた事故
12月15日午前1時25分頃、兵庫県において、タクシーが空車にて片側二車線の
道路を走行中、丁字路の向こう側の道路(横断歩道なし)を右から左に横断していた
歩行者を撥ねた。
この事故により、撥ねられた歩行者が死亡した。
当該タクシーには、ドライブレコーダが装着されていたが、現在警察に押収されてい
る模様。
なお、当該タクシーの運転者は、自動車運転過失致死の疑いで逮捕された。

(9)ダンプカー運転者を救護義務違反等の疑いで逮捕
12月10日午前6時頃、岡山県において、大型ダンプカーが走行中、歩行者(女
性・58歳)を撥ねたが、当該ダンプカーの運転者は、撥ねた歩行者を救護せずにそ
のまま現場を立ち去った。
この事故により、撥ねられた女性が死亡した。
警察のその後の調べにより、当該ダンプカーの運転者が自動車運転過失致死と救護義
務違反の疑いで10日夜逮捕された。
なお、当該ダンプカーの運転者は、「何かを轢いたのは間違いないが、人だとは思わ
なかった。」と供述しているとのこと。
事故現場は、当該ダンプカーの車庫に隣接している平坦な直線道路で、事故は、当該
ダンプカーが出庫して左折した際に発生した模様。

(10)タンクローリが横転して灯油が流出した事故
12月10日午後3時15分頃、滋賀県の交差点において、タンクローリが下り坂の
下にある交差点を右折する際に横転し、当該タンクローリのタンクが信号機の支柱に
ぶつかり破損したため、積載していた灯油6キロリットルが流出した。
この事故による負傷者はなし。
なお、流出した灯油の一部は側溝を伝い近くの池や川に流れ込んだ模様。

(11)ダンプカーがワゴン車と衝突した事故
12月12日午前7時50分頃、北海道において、大型ダンプが走行中、センターラ
インをはみ出して対向してきたワゴン車と正面衝突し、その弾みでこの大型ダンプは
路外逸脱した。また、衝突したワゴン車も衝突した弾みで後方を走行していた乗用車
に衝突した。
この事故により、衝突したワゴン車に乗っていた4名のうち3人が死亡、1名が軽傷
を負った。また当該ダンプカーと当該乗用車の運転者も軽傷を負った。
事故現場は、片側一車線の見通しの良い直線道路で、事故当時、天候は晴れだった
が、路面がアイスバーンとなっていた。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
【2.自動車運送事業の監査方針、行政処分基準等を改正しました。】

国土交通省では、事業用自動車に係る総合的安全対策検討委員会とりまとめの「事業
用自動車総合安全プラン2009」(平成21年3月)及び総務省からの「貸切バス
の安全確保対策に関する行政評価・監視結果に基づく勧告」を踏まえ、事故削減、事
後チェック機能の強化及び事業用自動車の輸送の安全の向上を図るため、自動車運送
事業の監査方針、行政処分基準等を改正しましたのでお知らせします。

1.改正の概要
<監査方針>
巡回監査及び呼出監査の端緒として、次のものを明確化
・ 自動車事故報告規則(昭和26年運輸省令第104号)に基づく自動車事故報告
 書に記載された内容に法令違反の疑いがある事業者(旅客自動車運送事業、貨物自
 動車運送事業)
・ タクシー業務適正化特別措置法(昭和45年法律第75号)第34条に基づく指
 定を受けた適正化事業実施機関が行う街頭指導等に基づく報告により、法令違反の
 疑いがある一般乗用旅客自動車運送事業者
行政処分基準等>
① 点呼におけるアルコール検知器の備えに対する処分基準の創設(旅客自動車運送
 事業、貨物自動車運送事業) 
・アルコール検知器の備え義務違反
  初違反60日車 再違反180日車
・アルコール検知器の常時有効保持義務違反
  初違反20日車 再違反60日車
② 営業区域外旅客運送に対する処分創設・強化
・一般乗合旅客自動車運送事業:創設
  初違反20日車×違反件数 再違反60日車×違反件数
・一般貸切旅客自動車運送事業:強化
 「臨時・偶発的なものと認められるもの」を削除し、次のとおり強化
  初違反20日車 → 初違反20日車×違反件数
  再違反60日車 → 再違反60日車×違反件数
・一般乗用旅客自動車運送事業:強化
 「反復・計画的なものと認められるもの」を次のとおり強化 
  初違反20日車 → 初違反20日車×違反件数
  再違反60日車 → 再違反60日車×違反件数
③ 処分の実効性の確保
・ 行政処分等の公表範囲として、文書による警告を受けた一般貸切旅客自動車運送
 事業者、一般乗用旅客自動車運送事業者、一般貨物自動車運送事業者を追加
・ 自動車等の使用停止処分において、違反行為に使用された車両を停止する等、停
 止対象の車両指定等の基準を明確化(旅客自動車運送事業、貨物自動車運送事業
2.施行時期
平成23年4月1日から施行
詳細につきましては、下記URLを参照願います。
http://www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/03punishment/baseline.html

【3.年末年始の輸送等に関する安全総点検を実施しましょう。(再周知)】

国土交通省では、輸送機関等に人流・物流が集中する年末年始に臨み、各自動車運送
事業者等の自主点検等を通じた安全性の向上を図るとともに、輸送安全等に対する意
識の高揚を図るため、12月10日〜翌年1月10日までの期間を年末年始の輸送等
に関する安全総点検実施期間と定めています。

各自動車運送事業者等の方々におかれましては、この安全総点検実施期間中に、下記
URLに掲載された点検表を活用するなどして、輸送等の安全確保のための自主点検
を実施されることをお願いします。
http://www.mlit.go.jp/jidosha/soutenken